数学をもう一度・・・

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12月

完全数(Perfect Numbers)・友愛数・社交数(Sociable Numbers)

  1. 整数\( a \)の約数のうち, 自分自身$a$を除いた約数の和が, \( a \)となるような数を \(完全数\)という.

    : 6の約数は\( \{1, 2, 3, 6\} \)であり, \( 1+2+3=6 \)

  2. 2組の整数の組を考えたとき, それぞれの整数の約数のうち自分自身を除いた約数の和が, 互いに他方と等しくなるような数を友愛数という.

    \( 220 \)と \(284 \) の約数はそれぞれ \( \{1, 2, 4, 5, 10, 11, 20, 22, 44, 55, 110, 220\} \)と \( \{1, 2, 4, 71, 142, 284\} \) であり, それぞれの和は
    \[1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284\]

    \[1+2+4+71+142=220\]
    である.

  3. 社交数は, 友愛数と同様の関係をもつ異なる3つ以上の整数の組である.よって,友愛数は社交数が2つの整数の組である場合と捉えることが出来る.
    : 

    \( 1264460 \) の約数は
    \[ \{1, 2, 4, 5, 10, 17, 20, 34, 68, 85, 170, 340, 3719,\\ 7438, 14876,
    18595, 37190, 63223, 74380, 126446, 252892, 316115,\\ 632230, 1264460\}\]
    自分自身を除いた約数の和は, \( 1547860 \)

    \( 1547860 \) の約数は
    \[ \{1, 2, 4, 5, 10, 20, 193, 386, 401, 772, 802, 965, 1604,\\ 1930, 2005,
    3860, 4010, 8020, 77393, 154786, 309572, 386965, 773930,\\ 1547860\} \]
    自分自身を除いた約数の和は, \( 1727636 \)

    \( 1727636 \) の約数は
    \[ \{1, 2, 4, 521, 829, 1042, 1658, 2084, 3316, 431909,\\ 863818, 1727636\} \]
    自分自身を除いた約数の和は, \( 1305184 \)

    \( 1305184 \) の約数は
    \[ \{1, 2, 4, 8, 16, 32, 40787, 81574, 163148, 326296,\\ 652592, 1305184\} \]
    自分自身を除いた約数の和は, \( 1264460 \)

 

素数(Prime Numbers)と合成数(Composite numbers)

  • 1より大きい整数 \( n \) が1と \( n \) とのほかに (正の) 約数をもたないとき, \( n \) を 素数 といい, 2以上の整数で素数でないものを合成数という.
  • 2以上の任意の整数は少なくとも1つの素数の約数をもつ.
  • 合成数 \( n \) は2以上の \( \sqrt{n} \) を越えない約数をもつ. 即ち, 自然数 \( n \) が \( \sqrt{n} \)を越えない最大の整数以下のすべての素数で割り切れなければ, \( n \) は素数である.
  • 任意の合成数は素数の積の形に表すことができ(素因数分解), 積の形はただ一通りに決まる (素因数分解の一意性).

: 1は素数ではない.

 

約数と倍数

  • 整数 \( a \) が整数 \( b \) で割り切れるとき, \( a \) を \( b \) の倍数, \( b \) を \( a \) の約数という.
  • 2つ以上の整数に共通な約数をこれらの公約数といい, 公約数のうちで最大なものを最大公約数という. 公約数はすべて最大公約数の約数である.
  • 2つ以上の整数に共通な倍数をこれらの公倍数といい, 正の公倍数のうちで最小なものを最小公倍数という. 公倍数は無数にあり,すべて最小公倍数の倍数である.
  • 2つの整数 \( a, b \) の最大公約数が1のとき, \(a\) と \(b\) とは互いに素であるという.

注1:~ 1はすべての整数の約数で, すべての整数は1の倍数である.
注2:~ 0はすべての整数の倍数だが, いかなる整数の約数でもない.
注3:~ 最大公約数を , G.C.D.(Greatest Common Divisor の略) 或いは, G. C. M. (Greatest Common Measure の略)といい, 最小公倍数を L. C. M. (Least Common Multiple の略) と略記する.

 

整数とその性質

整数について、たいせつな事柄は、次のようなものが挙げられる.

  • 除法の基本法則:2つの整数 \( a, b  ( b > 0 ) \) に対して, \( a=bq+r   ( 0 \leqq r < b) \) を満たす整数 \( q, r \) がただ1通り定まる.
  • \( a=bq+r \) と表したとき,\( q \) を, 「 \( a \) を \( b \) で割ったときの」, \( r \) を剰余 (余り) といい, \( r = 0 \) のとき, \( a \) は \( b \) で割り切れる (整除される) という.
  • 整数の剰余による分類について:~\( p \) を2以上の整数とするとき, すべての整数は \( p \) を基準として, つぎのどれかの形で表される.
    \[ pn, pn+1, pn+2, \cdots\cdots, pn+(p-1)     ( n は\text{整数} ) \]
    すなわち, 整数全体の集合 \( \mathbb{Z} \) は, \( p \) で割った余りによって \( p \) 個の組に分類される. これを法 \( p \) による 剰余類 という.


\( p=2 \) とすると, \( 2n \) (偶数) と \( 2n+1 \) (奇数) の2つの類に分類され, \( p=3 \) とすると, \( 3n,\ 3n+1,\ 3n+2 \) の3つの類に分類される.

参考: \( p=2 \) のとき, \( 2n, 2n-1 \). \( p=3 \) のとき, \( 3n, 3n \pm 1 \) という表し方がよく用いられる. これは \( 2n-1=2(n-1)+1,~~3n-1=3(n-1)+2\) として得られる形である.

 

整数(Integers[独:Zahlen(Zahlの複数形)]

2つの 自然数 \( a, b \) に加法, 或いは, 乗法を行った結果は, 1つの自然数である(自然数は, 加法について閉じている.また, 自然数は, 乗法について閉じている)が 減法および除法を行った結果は必ずしも自然数にならない.
そこで, \( a = b \) や \( a負の整数を考え, 数の概念を拡張する.この自然数, \( 0 \) および負の整数の3つを総称して整数という.

  1. 整数全体の集合 \( \mathbb{Z} \) は加法および減法について閉じている.
  2. \[ \forall a\in \mathbb{Z}, \forall b\in \mathbb{Z} \Longrightarrow a\pm b\in \mathbb{Z}\]

  3. 整数全体の集合 \( \mathbb{Z} \) は乗法について閉じている.
    \[ \forall a\in \mathbb{Z}, \forall b\in \mathbb{Z} \Longrightarrow ab\in \mathbb{Z}\]

 

自然数(Natural Numbers)

自然数は, 我々が幼児期にもつ最初の数の概念であり, 自然数全体の集合 \( \mathbb{N} \) は以下の演算について閉じている.

  1. 自然数全体の集合\( \mathbb{N} \)は加法について閉じている.
  2. \[ \forall a\in \mathbb{N},\forall b\in \mathbb{N} \Longrightarrow a+b\in \mathbb{N} \]

  3. 自然数全体の集合 \( \mathbb{N} \) は乗法について閉じている.
  4. \[ \forall a\in \mathbb{N},\forall b\in \mathbb{N} \Longrightarrow ab\in \mathbb{N} \]

\( \forall a\in \mathbb{N} \) は, 「自然数 \( \mathbb{N} \)から任意の数 \( a \)を取り出す」という意味である. \(\forall \) の記号はAny或いはAllの頭文字を図案化したものといわれており, 「\( \mathbb{N} \) からどんな数 \( a \) を取り出しても」と平易な言葉で表現することも出来る.
また, 「閉じている」という表現は「集合」で用いられる用語で, 集合 S (例えば, \( \mathbb{N} \) )が, ある演算(例えば, 加法)について「閉じている」とは, S の要素をどのように好き勝手に取ってきても, その演算を施すと, 値は S の要素になるという意味である.

 

数の拡張

数は, 演算や方程式の解の有無によって次のように分類される.
\[
\text{複素数}(\mathbb{C})\left\{\begin{array}{l}
\text{実数}(\mathbb{R})\left\{\begin{array}{l}
\text{有理数}(\mathbb{Q})\left\{\begin{array}{l}
\text{整数}(\mathbb{Z})\left\{\begin{array}{l}
\text{正の整数(}\mathbb{Z}^{+}\text{)-}(\text{自然数})(\mathbb{N})\\
\text{0}\\
\text{負の整数}(\mathbb{Z}^{-})
\end{array}\right.\\
\text{分      数}\left\{\begin{array}{l}
\text{有限小数}\\
\text{循環小数(無限小数)}\\
\end{array}\right.\\
\end{array}\right.\\
\text{無理数(循環しない無限小数)}
\end{array}\right.\\
\text{虚数}
\end{array}\right.
\]

 

数と四則演算 
the four basic operations of arithmetic
(addition, subtraction, multiplication, and division)

集合の元に対する演算を考えてみよう.中学・高校で取り扱う数や式にの計算は, すべて加法と乗法という演算について次の3法則が成り立つ.

  1. 交換法則(Commutative) \[ a+b=b+a, ab=ba \]
  2. 結合法則(Associative) \[ (a+b)+c=a+(b+c),~~(ab)c=a(bc) \]
  3. 分配法則(Distributive) \[a(b+c)=ab+ac\]

 

\( \sqrt{2}, \sqrt{3}, \sqrt{5} \) の語呂合わせ

\( \sqrt{2}, \sqrt{3}, \sqrt{5} \) は小数で
\( \begin{eqnarray*}
\sqrt{2} &=& 1.4142135623730950488\cdots\cdots\\
\sqrt{3} &=& 1.7320508075688772935\cdots\cdots\\
\sqrt{5} &=& 2.2360679774997896964\cdots\cdots\\
\end{eqnarray*}
\)
となる. \( 1.41 \) はコピー機で用紙の2倍拡大で馴染みの数字であるが,それぞれの小数の覚え方は,
\(
\begin{eqnarray*}
\sqrt{2} &=& 1.41421356\cdots\cdots \text{(一夜一夜に人見頃)}\\
\sqrt{3} &=& 1.7320508\cdots\cdots \text{(人並みに奢れや)}\\
\sqrt{5} &=& 2.2360679\cdots\cdots \text{(富士山麓, 鸚鵡鳴く)}\\
\end{eqnarray*}
\)
という語呂合わせが有名である.興味があれば,他の語呂合わせも調べてみるとよい.

 

無理数(Irrational Numbers)

正の有理数 \( a \) が完全平方数でないとき, 即ち2乗して \( a \) になる数は,有理数ではなく, 有限小数や循環小数の形で表すことができない. このように循環しない無限小数を考えて, 数の集合を拡張した数の集合を無理数という. 2乗して \( a \) になる数を \( a \) の平方根という. 正の数 \( a \) の平方根は2つあって,それらは、絶対値が等しく符号が反対である.その正の方を \( \sqrt{a} \), 負の方を \( -\sqrt{a} \) で表す. また \( \sqrt{0}=0 \)とする. 例えば,\( 4 \) の平方根は2乗して \( 4 \) になる数なので, \( -2 \)と \( 2 \) になる. ところが, \( 2 \) の平方根は,無理数となる. そこで,新しく根号という記号 \( \sqrt{\ } \) を導入し, 2乗して\( 2 \) になる平方根のうち正の平方根を \( \sqrt{2} \)と記すことにする. 記号 \( \sqrt{\ } \) は,平方根の「根 root」の r を図案化したものである。